「やおよろずのかみ」と読みます。広辞苑では「八百万(やお-よろず)」を「数が極めて多いこと」と解説しています。「八百八橋」とか「八百八町」と似たような表現でしょう。
上記からも推測されるように、「八百万神」は1柱(ひとはしら)の神様の神名ではありません。「非常に多くの神様」という程の意味です。
西暦967年に施行された延喜式祝詞(えんぎしき-のりと)には、次のような一節があります。
「神伊佐奈紀伎・神伊佐奈紀美乃命、妹背二柱嫁継ぎ給ひて、国の八十国・嶋の八十嶋を生み給ひ、八百万神等を生み給ひて」(鎮火祭祝詞)
「高天之原に神留り坐して、事始め給ひし神漏伎・神漏美の命以て、天之高市に八百万神等を神集へに集へ給ひ」(遷却崇神祭祝詞)
これらの祝詞での「八百万神等」の意味を考えると、「八百万神」は数多くのさまざまな神様の「総称」として使われています。
「よろず屋」とか「よろず相談所」という言葉があります。これらの「よろず」の言葉の底にある意味は、「いろいろ」とか「さまざま」とか「なんでも」です。「万神(よろずのかみ)」は「さまざまの神様」の意ですが、「なんでも(なにもかも)神様」つまり「万物は神なり」とか、「万物には霊がある」という意識に繋がっていると思います。逆の云い方をすれば、「万物には霊がある」という深層意識が「八百万神」を出現させたと言えます。
大木にしめ縄が巻かれていたり、巨石や奇岩にしめ縄が巻かれていても、日本で育った人なら、それほど奇異な風景とは感じないでしょう。むしろ、そこに神聖なものを感じるのがふつうです。
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