神社境内には、いろいろな建物が建てられていますが、中心となる建物は、「本殿」(ほんでん。御神霊の鎮まり座す建物)です。
同じように寺院境内にも、いろいろな建物が建てられていますが、古式の伽藍配置を有する寺院は別にして、私達が町中で普通に見掛ける寺院の境内で、中心となる建物は、「本堂」(ほんどう。御仏の鎮まり座す建物)です。
「本堂」の建物は大きく、常時大勢の人々が「本堂」に出入りし、「本堂」内で礼拝もします。
ところで、「本殿」はどうでしょう。「本殿」は、「本堂」に比べて大抵は小さな建物ですが、建物の大小より「本堂」と大きく異なる点は、「本殿」は神主ですらめったに入らない建物であることです。「本殿」は、神様の占有の建物で、人間が出入りする建物ではない点が「本堂」とは異なります。
神社にも、常時人々が出入りし拝礼をする建物がありますが、この建物は「拝殿」(はいでん)と称されて、本殿とは別棟の建物です。「拝殿」は、普通「本殿」の前方に建っています。
宗教行事を、寺院では「本堂」という1つの建物で機能させるところを、神社では「本殿」と「拝殿」という2つの建物で機能させています。この違いを念頭に置いて、神社の建物をご覧ください。
「拝殿」は人が出入りする建物ですから、ふつうは「本殿」より大きく、しかも「本殿」の前に建っているために、直接「本殿」を見ることが出来ない場合が多い。このことが、「拝殿」を「本堂」の如く見たり、「拝殿」を「本殿」の如く見たりするという誤解が生じる原因となっています。
全国津々浦々の神社で、参拝を済まされたら、ぜひ「拝殿」の横に回ってみてください。立派な「本殿」が現れて、びっくりされることもありますよ。
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